荒巻 慶士

UPDATE
2024.05.23

その他

カフェを探す

 引越しをして事務所への通勤経路が変わった。それで、行き、帰りにちょっと立ち寄れるカフェを探している。

 

 事務所が静かで広いのはわかっている。しかし、少し騒がしいくらいの方が、物事に集中できたり、リラックスできたりすることがある。事務所で仕事に手詰まり、ふらふらと出かけた先のカフェで、事態を打開する妙案や、書面に使えそうなイケてる表現を思いついたりするから、不思議だ。

 

 そんなこんなで、朝一で職場に出なかったり、早めに事務所を出て、途中でカフェに吸い込まれてしまうことがあるわけだが、肝心なのは居心地の良さである。空気、色調、照明、音、匂い、座席の離隔や配置、卓や机の広狭、椅子の形や硬さ…、微妙なバランスが、落ち着けるかどうかに影響する。

 

 チェーンのコーヒーショップでも店によってずいぶん違う。味はどこも相応においしいことが多いし、あまり気にしない。ところが、天井は高くて美区間なのに、寒くてというのはいただけない。できればトイレはきれいな方が、とキリがないが、しっくりくるとうれしいひと時となる。

 

 こういうコラムを書くにもカフェは最適。最短で通勤せず、少しずつルートを変えてするカフェ探しも楽しい。

 

荒巻 慶士

UPDATE
2024.03.21

その他

年度が変わる時

  何十何回目かわからないが、さらなる引っ越しを終えて、バタバタと迎えた年度末である。

 昨年の会計を締めて、税金を申告し、多くの会社は営業年度を終える。会社員も公務員も一年を振り返り、異動の季節に。学生・子どもたちは、卒業、就職、入学、進級と、それぞれに新たな門出となる。

 桜の花とともに咲き、散って、心がリセットされる。いやなことも、不快なことも、いったん忘れることにしよう。

 グローバル基準と違うかもしれないが、4月開始の年度はやはり捨てがたい。

荒巻 慶士

UPDATE
2024.01.20

その他

気づく感性

 ニューヨークで2年ぶりの積雪と、事務所に向かうバスでニュースを見た。この町に滞在したのは30年以上前のことだが、当時、冬は本当に寒くて、時折大雪に見舞われた。雪原となったセントラルパークで、雪の降らない国から来た留学生と転げたのを思い出す。東京で日ごろ実感する温暖化だが、世界中で起きている事象であることは案外見えにくい。

 

 新年早々、能登を大地震が襲い、テレビの繰り返す津波の警告が正月気分を吹き飛ばした。「忘れたころ」にやってきたわけではない。まさに昨日のことのように地震の記憶は鮮明だが、意外なタイミングでやってきた。旅行中、帰省中、時を選ばないということだ。死者は200人を超えたという。過去の震災の教訓が生きた点はあるだろう。生かされなかった点はどこか。

 

 世界に目を転じると、昨年から、ウクライナ、パレスチナと戦争の連続。まさに死屍累々。年を明けて、大統領選を今秋に控えるアメリカでは、共和党の初回候補選でトランプ氏が大勝したという。

 

 見えにくいが、目を凝らすと見えてくるものがある。怖いのは慣れ。感性を鈍らせないようにしたい。鈍ろうとする感性には、ドグマ的に自身を律する必要もある。生命の尊厳、戦争放棄、法の支配…、ぶつぶつと唱えてみる。

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