荒巻 慶士

UPDATE
2020.11.24

最近の法律関係情報

非正規格差に関する最高裁判決

 先月13日と15日に、雇用の非正規格差をめぐる最高裁判決が相次いで出された。結論をまとめると、退職金と賞与の不支給は不合理ではない、年末年始勤務手当、夏期・冬期休暇、年始勤務の祝日給、扶養手当の格差は不合理といったものである。しかし、結論だけを一般化するのは短絡的だ。

 

 重要なことは、判決を導いた考え方を理解することだ。

 これは、賃金の支払いや休暇の付与の趣旨・目的と働き方について整合性を個別に見ていくもので、その会社、その社員について具体的に検討される。私傷病欠勤についての有給・無給の差異について、13日の判決と15日の判決で合理性の判断が分かれたのも、一方は長期雇用が前提とされていない、他方は相応に継続的な勤務が見込まれていると判断されたためと考えられる。

 

 待遇差を検討するに当たっては、賃金や休暇などの待遇について、なぜそのような待遇をするのかを改めて問い直し、さまざまな働き方をしている社員それぞれに妥当するかどうかを吟味することが大切だ。

 そして、待遇の差異についての合理性が確かなものであるかどうかは、その検討結果について、それぞれの社員にわかりやすく説明できるかどうかにより、確認できると思う。

 

後藤 慎吾

UPDATE
2020.10.26

その他

高校生たちとの対話

先月、弁護士会の活動で、府中西高校と小金井北高校で模擬立法の授業を担当しました。

 

民法の成人年齢や少年法の実名報道の問題を取り上げて、現行法の内容を前提として、それをよりよくするためにどのような法律の改正を行うのが良いかについて生徒たちに議論してもらい、その結果を発表し、最後に投票でクラスの意見をまとめるというものです。

 

多様な価値観を有する人々の集合である社会がそこに存在する課題を解決するためには、人々が知恵を持ち寄り、議論を尽くしたうえで、より良い解決策を選び、それを実行することが必要になります。生徒たちも今回の授業を通じてそのような社会課題の解決のあり方について理解を深めてくれたのではないかと思います。

 

私にとっても、将来わが国を背負って立つ若者たちの考えを知ることができ、とても有意義な経験でした。またどこかの学校で生徒たちと対話する機会を持てればと願っています。

荒巻 慶士

UPDATE
2020.09.28

その他

心のビート

 人に頼んで心臓の鼓動を聴いた。

 ドアに響くノックのようである。たしかに、胎児のくぐもった心音は、未知の世界の扉をやわらかく叩いている。

 生まれた後も止まることなく刻み続けるドラムのビートは、速くなり遅くなり、手足や声に向けてタクトを振る指揮者のようだ。

 

 死のニュースを聞かない日がない。

 この春からはコロナ死の数を知らされる毎日だ。仕事でも、私生活でも、身近な人の訃報に接することも多い。

 

 心拍は死ぬ前に遅くなるか。

 突然止まるのか。

 余韻を残して終わるひとつの曲を思う。

 

 

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