後藤 慎吾

UPDATE
2016.12.27

その他

今年一年を振り返って

今年8月の私の最初のコラムで本の執筆で大変だと書きましたが、その企画はようやくゲラの校正の段階まできました。素晴らしい体裁に仕上げて頂き、出版社・印刷所の方々には大変感謝しております。この本が取り上げる分野にフォーカスした書籍はこれまでにないことから、社会に意義のあるものになるのではないかと思っています。来年3月の刊行に向け、正月返上でゲラと格闘するつもりです。

 

さて、今年は3月に荒巻弁護士と共に独立し、法律事務所を立ち上げることができました。何とか今年を終えることができるのは、ひとえに周りの方々のご支援があってのことであり、感謝の念に堪えません。私が司法修習生時代に自分の将来のキャリアを考えたときに、①大規模事務所で経験を積む、②米国のロースクールに留学する、③自分の法律事務所を開設する、という3つを目標に定めました。①②を経て、荒巻弁護士というよきパートナーを得て、弁護士登録13年目にしてようやく③の目標を実現することができました。

 

独立してみてどうですか?と聞かれることがよくあります。自分のしたい仕事を思うようにできる。それだけでも独立する価値があると思います。他方でリスクを伴うのも事実です。弁護士過多といわれる時代に弁護士が集中する東京で独立するという選択は非合理的だ、という人もいます。それでも私は独立してよかったと思っています。毎日、新たな出会いがあるかもしれない、面白い案件が持ち込まれるかもしれない、そういう不確実性を楽しめるかどうかで心持ちも全く変わってくるものです。私は、どんなときでも何故か、まあなんとかなるだろう、と考えてしまう性分なようでして、こんな楽天的な性格が幸いしているんだと思います。

 

ありがたいことに今年は多くの素晴らしい方々との新たな出会いがありました。また、案件にも恵まれました。これまでに頂戴したご縁を大切にしつつ、来年も新たな分野にチャレンジし、法律分野においてもまた人間力においても研鑽に努め、社会に意義のある仕事をしていきたいと思っています。本年のご厚情誠にありがとうございました。また、来年も何卒よろしくお願い申し上げます。

後藤 慎吾

UPDATE
2016.10.24

その他

General & Special

 2か月前のコラムで、プロ向けファンドに関する法規制の執筆をしていると書きましたが・・・未だ終わってません(汗)。ファンドの分野は弁護士登録以来携わってきたので、当初は、2か月もあれば書き終わるだろうと思っていたのですが、これまでに刊行された書籍や論文、パブリックコメントで示された金融当局の考え方などを改めて丹念に読み込んでいると、いつの間にか空が白んでいたりして。ここまで根を詰めて学究的に打ち込むのは3年前のNY州の司法試験の受験のとき以来です。

 

 ところで、お客様と初めてお会いするときなどに、「専門は何ですか?」と聞かれることがあります。そんなときには「会社関係の仕事が多いです。」と答えるようにしています。企業の法律顧問としての仕事をすることが多いので、顧問先の商取引の交渉、資金調達、知的財産、人事労務、紛争処理など様々な種類のご依頼を頂いています。ですので、このようなざっくりとした回答がわかりやすいのだろうと思いますし、いざとなったらうちの会社には後藤弁護士がいるから安心だ、といっていただけるような、企業を取り巻く法的問題全般について対処できる弁護士になりたい、と考えています。

 

 また、会社関係の仕事の中で「特に関心のある分野は何ですか?」と聞かれたときには、コンプライアンス・ファンド・ベンチャーの3つの分野を答えています。それぞれの分野について自分なりに熱い想いがあるのですが、これを書き出すと長くなるのでまた今度の機会にしたいと思いますが、弁護士登録以来取り組んできた仕事の内容や沸々と湧き上がる自分の知的好奇心に鑑みて、この3つの分野で更に研鑽を積んでいきたいと考えています。

 

 GeneralとSpecialは決して相克するものではありません。Generalの土台の上にSpecialなものを作っていくこと。どのような職業分野でも求められるものは同じなのだと思います。太宰治は富嶽百景の冒頭で「実際の富士は、鈍角も鈍角、のろくさと拡がり、東西、百二十四度、南北は百十七度、決して、秀抜の、すらと高い山ではない。」と書いています。新幹線で関西方面に行くときに眼前に広がる富士を見ると、私の理想とする弁護士像をそこに見る思いがするのです。

 

 独立した当初は、独立して時間に余裕ができるかな、と思っていたのですが、日々の仕事や事務所の運営、法律分野での自己研鑽等々と、なかなかそういうわけにもいかず、1日って24時間しかないのか、と改めて認識する毎日です。いろいろとやりたいことの構想はあるのですが、それを深く考える時間も未だ取れず、それもこれもまずは本を書き上げないとな、というわけでまた執筆活動に戻る秋の夜長なのでした。

後藤 慎吾

UPDATE
2016.08.18

企業法務関連情報

ベンチャー・エコシステムの創造に向けて

 日々皆様からいただくご相談の合間を縫って、適格機関投資家等特例業務、いわゆるプロ向けファンドの法規制に関する執筆をしています。来年初めの発刊を目指していますが、まとまった時間がなかなかとれず遅々として進まず・・・さてどうなることやら。

 

 プロ向けファンドに関する法規制は、これまではある意味で「真空状態」ともいえる状況でしたが、投資者被害が相次いだことを受け、今年の3月に厳格化され、例えばプロ向けファンドに出資できる投資家の範囲が限定されました。そんな中で、ベンチャーキャピタル(VC)ファンドについては特例的に出資可能な投資家の範囲が広げられています。これは、VCが持っている、ベンチャー企業への成長資金の供給源としての役割を阻害しないことへの配慮に基づくものであり、ベンチャーの創出・育成を重要政策課題とする現政権のVCへの期待の表れということができます。

 

 私が留学時代を過ごしたカリフォルニア州バークレーは、多くの有力ベンチャー企業を輩出してきたシリコンバレーから車で1時間くらいのところにあります。私は留学中何度もシリコンバレーを訪れましたが、いつもからっとしたこの地の気候は自由な発想を持つのにはいいかもな、と思った以外には、シリコンバレーという街の風景や雰囲気自体には特にこれといった印象はありません。それにもかかわらず、何故シリコンバレーが世界を一新するような革新的なイノベーションを生み続けているのか。それは、この街には人・事業・お金が有機的・効率的に結びつくエコシステムが確立しているからなのだと思います。

 

 わたしたちの事務所は、ベンチャー・創業支援を業務の柱の一つとしています。それは、ベンチャー企業が提供するイノベーションにアドバイザーとして参画することで、世の中をよりよくすることの一助となることに大きな魅力を感じ、また、そこで働く人々とビジョンを共有し、目標を達成することで共に成長する実感を持つことができるからです。今も多くのベンチャー企業とお付き合いをさせて頂く中で、社会を変えるかもしれない新しい事業に関与できる喜びを感じています。

 

 少子高齢化が進む我が国において、インパクトのある新事業を創出し、世界で伍していくことができるベンチャー企業が多く誕生することが求められています。そのためにはシリコンバレーにあるようなエコシステムの構築が急務です。わたしたちの事務所がこれまでに培ってきた知見を活かし、その一翼を担えればと願っています。

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