後藤 慎吾

UPDATE
2024.12.18

企業法務関連情報

お客様は神様ではない

今年の秋に、私が法律顧問をしている会社でカスタマーハラスメントへの対応に関する研修の講師を担当した。その会社は消費者向けのサービスを提供しているので、サービス利用者や時には利用者でない人からも電話などでハラスメントを受けることがあるとのことだった。実例を聞いてみると、カスタマーサービスの担当者がひどい暴言を言われていて、こちらまで悲しい気持ちになった。

 

カスタマーハラスメントは、多くの場合、顧客が事業者の提供する商品やサービスに不満を持つことが起点となっている。この不満の原因が何なのかを検証し、その原因に対処し、予め不満の芽を摘むことが、事業者がカスタマーハラスメントを抑止するための基本となる。また、顧客が不満を持った後の顧客への対応の仕方も重要だ。カスタマーサービスの担当者の商品やサービスに関する知識は十分か、顧客に接する際の態度に改善するべき点がないかについても検討する必要がある。

 

しかし、事業者がどれだけ努力しても、顧客自体が変わろうとしなければ、カスタマーハラスメントはなくならない。「お客様は神様です」「The customer is always right.」といった言葉があるが、これらの言葉は、顧客が期待する商品やサービスの提供に徹するという事業者側のあるべき態度を示したものであって、顧客の側がこれを字義どおりに理解して、不満があれば事業者に暴言を吐いても構わないと考えるのは誤りだ。

 

東京都が今年10月にカスタマーハラスメント防止条例を制定し、国も事業者にカスタマーハラスメントへの対応を義務づけるための法改正を検討するなど、我が国においてカスタマーハラスメントの抑止に向けた機運が高まりつつある。これらの動きによって、カスタマーハラスメントの問題に関する社会的な意識に変化がもたらされ、事業者と顧客の双方が、互いの人格を尊重し、よりよい関係を築いていく契機になってくれればと願っている。

後藤 慎吾

UPDATE
2023.12.27

その他

サウナ

今、巷はサウナブームだという。私が住んでいるマンションの共用施設にサウナがあり、冬場は週に2、3回はサウナに通っている。

 

サウナで12分ほど汗を流し、水風呂に入り、温水ジャグジーに浸かって、椅子に座って休憩する。これを4~5回繰り返すと、何とも言えない幸福感に満たされる。最近は、サウナでこのような状態になることを「ととのう」と言うようだが、正に言い得て妙だと思う。

 

たまに、休憩している間にスマホを見ている人がいるが、これはいけない。「ととのう」ためには、外部の情報から遮断されて頭を空っぽにするように努めることが肝要だ。

 

こうしてかれこれ15年ほどサウナに通っていると、サウナがない生活は考えられなくなる。最近自宅が手狭になり引っ越したいのだが、サウナがあるマンションに限定して探しているからなのか、なかなか転居先が見つからないという問題に直面している。

後藤 慎吾

UPDATE
2023.10.30

その他

弁護士人生20年

私が弁護士登録をしたのは2003年10月のことだから今月でちょうど20年になる。ここまで大過なく弁護士の仕事を続けることができたのは、これまでに指導いただいた諸先輩方、今ともに事務所を運営している荒巻弁護士、支えていただいた歴代の秘書の方々など、多くの方々のお陰であり心より感謝申し上げたい。

 

将棋の谷川十七世名人は、将棋の棋士は「勝負師」と「研究者」と「芸術家」の3つの顔を持つと述べているが、弁護士も同じだと思う。訴訟には勝ち負けがあるし、事件を処理するために関係する法律について研究することも多い。また、弁護士の仕事として契約書を作ることがあるが、弁護士にとって契約書は「作品」というべきものであり、全体として論理的一貫性があり均整の取れた美しさが追求される。

 

私は何でもすぐに飽きてしまう性分なのだが、弁護士の仕事だけは辞めようと思うことがなかった。それは、弁護士という仕事がこのような多様な側面を持ち、どこまでいっても極めることが困難だからなのだろう。

 

健康に問題がなければあと20年は弁護士として仕事をしたい。そう考えると今はちょうど中間地点だ。これまでの20年の蓄積を活かしてこれからの20年も実りあるものにしていきたい。

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