荒巻 慶士
- UPDATE
- 2024.09.23
その他
定年なき世界
敬老の日を機に、65歳以上の高齢者の就業者数が過去最高を更新したとの報道に触れた。年々増加しているという。今後もこの傾向は続くだろう。
足元で高齢者を巡る法律相談が増えている。障害者や女性に関わる相談もしかり。だれもが区別なく働ける社会が志向されている。
使用者には現在、65歳までの雇用が義務化されている。令和3年からは、70歳までの就業確保措置が努力義務とされた。多くの法制度が努力義務を経て本格義務化されており、70歳までの義務化が視野に入っている。定年制の全面廃止も遠くない将来に、おそらく実現するだろう。
定年なき世界がうまく回るためのポイントを考えてみたい。
まず、就労したい高齢者の取り巻く環境は人それぞれであるから、働き方の選択肢が多く確保されることだ。また、健康状態など変化に応じて、働き方を変えられることが望ましい。
他方で、使用者の利益も考慮して、処遇を中心とした労働条件については、働きに見合ったものであるべきだろう。けれども、働きがいを感じる待遇ではあってほしい。このあたりの思い違いをなくすためには、雇用に当たって、十分な説明と納得を踏まえた合意が重要だと思う。
大切にしたいのは、リタイアの時期を自分で選べるということだ。経済的な労働の強制になることは避けなければならない。就労・稼得により年金を減らさないことも必要だ。
かつては一律引退が当たり前だった。父は、いよいよ「サンデー毎日」、と笑っていたものだ。ある意味お気楽であったが、複線的なシニアライフが楽しめる世界は素敵である。