荒巻 慶士
- UPDATE
- 2024.01.20
その他
気づく感性
ニューヨークで2年ぶりの積雪と、事務所に向かうバスでニュースを見た。この町に滞在したのは30年以上前のことだが、当時、冬は本当に寒くて、時折大雪に見舞われた。雪原となったセントラルパークで、雪の降らない国から来た留学生と転げたのを思い出す。東京で日ごろ実感する温暖化だが、世界中で起きている事象であることは案外見えにくい。
新年早々、能登を大地震が襲い、テレビの繰り返す津波の警告が正月気分を吹き飛ばした。「忘れたころ」にやってきたわけではない。まさに昨日のことのように地震の記憶は鮮明だが、意外なタイミングでやってきた。旅行中、帰省中、時を選ばないということだ。死者は200人を超えたという。過去の震災の教訓が生きた点はあるだろう。生かされなかった点はどこか。
世界に目を転じると、昨年から、ウクライナ、パレスチナと戦争の連続。まさに死屍累々。年を明けて、大統領選を今秋に控えるアメリカでは、共和党の初回候補選でトランプ氏が大勝したという。
見えにくいが、目を凝らすと見えてくるものがある。怖いのは慣れ。感性を鈍らせないようにしたい。鈍ろうとする感性には、ドグマ的に自身を律する必要もある。生命の尊厳、戦争放棄、法の支配…、ぶつぶつと唱えてみる。