荒巻 慶士
- UPDATE
- 2020.09.28
その他
心のビート
人に頼んで心臓の鼓動を聴いた。
ドアに響くノックのようである。たしかに、胎児のくぐもった心音は、未知の世界の扉をやわらかく叩いている。
生まれた後も止まることなく刻み続けるドラムのビートは、速くなり遅くなり、手足や声に向けてタクトを振る指揮者のようだ。
死のニュースを聞かない日がない。
この春からはコロナ死の数を知らされる毎日だ。仕事でも、私生活でも、身近な人の訃報に接することも多い。
心拍は死ぬ前に遅くなるか。
突然止まるのか。
余韻を残して終わるひとつの曲を思う。