後藤 慎吾
- UPDATE
- 2016.08.18
企業法務関連情報
ベンチャー・エコシステムの創造に向けて
日々皆様からいただくご相談の合間を縫って、適格機関投資家等特例業務、いわゆるプロ向けファンドの法規制に関する執筆をしています。来年初めの発刊を目指していますが、まとまった時間がなかなかとれず遅々として進まず・・・さてどうなることやら。
プロ向けファンドに関する法規制は、これまではある意味で「真空状態」ともいえる状況でしたが、投資者被害が相次いだことを受け、今年の3月に厳格化され、例えばプロ向けファンドに出資できる投資家の範囲が限定されました。そんな中で、ベンチャーキャピタル(VC)ファンドについては特例的に出資可能な投資家の範囲が広げられています。これは、VCが持っている、ベンチャー企業への成長資金の供給源としての役割を阻害しないことへの配慮に基づくものであり、ベンチャーの創出・育成を重要政策課題とする現政権のVCへの期待の表れということができます。
私が留学時代を過ごしたカリフォルニア州バークレーは、多くの有力ベンチャー企業を輩出してきたシリコンバレーから車で1時間くらいのところにあります。私は留学中何度もシリコンバレーを訪れましたが、いつもからっとしたこの地の気候は自由な発想を持つのにはいいかもな、と思った以外には、シリコンバレーという街の風景や雰囲気自体には特にこれといった印象はありません。それにもかかわらず、何故シリコンバレーが世界を一新するような革新的なイノベーションを生み続けているのか。それは、この街には人・事業・お金が有機的・効率的に結びつくエコシステムが確立しているからなのだと思います。
わたしたちの事務所は、ベンチャー・創業支援を業務の柱の一つとしています。それは、ベンチャー企業が提供するイノベーションにアドバイザーとして参画することで、世の中をよりよくすることの一助となることに大きな魅力を感じ、また、そこで働く人々とビジョンを共有し、目標を達成することで共に成長する実感を持つことができるからです。今も多くのベンチャー企業とお付き合いをさせて頂く中で、社会を変えるかもしれない新しい事業に関与できる喜びを感じています。
少子高齢化が進む我が国において、インパクトのある新事業を創出し、世界で伍していくことができるベンチャー企業が多く誕生することが求められています。そのためにはシリコンバレーにあるようなエコシステムの構築が急務です。わたしたちの事務所がこれまでに培ってきた知見を活かし、その一翼を担えればと願っています。