荒巻 慶士
- UPDATE
- 2019.09.30
その他
懐かしくて新しい出会い
高校生のころ、斜に構えていたから、文化祭とか体育祭とか〝青春〟めいたものが嫌だった。その後、いろいろなことがあり、大抵のことは受け入れるようになり、視野も広がって、何事にも興味を持てるようになった。さまざまな人と出会う弁護士という仕事、その前に就いていた新聞記者の仕事も、こうした心境の変化を与えたと思う。
そういうわけで、この夏開かれた出身高校の同窓会に、初めて出かけた。といっても、これまでそのような会が行われていることも知らず、今回は幹事のメンバーが同窓会名簿を使って、広く呼びかけてくれたということだ。
当時バンドを一緒に組んでいて、行くのを約束し、会うのを楽しみにしていた仲間、思いがけず再会できたクラスの友だち…。長い人では、まさに卒業以来だから、30年以上会っていないことになる。
その年月を埋めるには、あまりにも短い時間ではあったが、会ってみれば呼び捨てで、忘れかけた記憶をみなでつなぎ合わせては笑い、会が終わるころには、すっかり高校生に戻った気分だった。
不思議だったのは、級友たちは、街で会ったとしたらわからないだろうのに、顔を合わせて話してみれば、話し方、物腰、当時のままで、そのまま歳月を経た風貌なのだ。「○○か、まったく記憶にないけだ、身体が覚えてるよ」、と声を上げた友人がいた。
まさにそういう感じ。そういえば、こう話した友人は、昔から、言うことに感覚の鋭さがあったっけ。無垢な心で、見、聞き、感じていたあのころがよみがえる。お前も結局、変わらないと言われた。
友だち、そして自分にも、懐かしくも、新しい出会いだった。