荒巻 慶士

UPDATE
2025.11.28

その他

手放すということ

 数日間、旅行で東京を離れた。

 パソコンなしでとも考えたが、まあこれだけはとにカバンに入れた。けれども、開く時間は決めることにした。今回は、仕事のことも気になる他のことも持っていきたくはなかった。

 

 飛行機の中で、気になることは自然と思い浮かんでくる。離れようとするのを追いかけてくるようだ。それを塗りつぶすように黒く消した。ところが、抹消すればするほど、浮き出してくるようだ。

 ため息をついて外を見る。窓からぷかぷかと浮かぶ雲を眺めた。ゆるやかに過ぎていく白い綿毛。流れのままに去るに任せる。手放すことをイメージしたら、自由になれた気がした。こだわらない、放っておく。

 

 弁護士の仕事といえば、まずは、法を知り、その考え方を示して助言し、解決に向けた手助けをするというあたりか。他方で、この仕事に長いこと携わって思うのは、法に関わるさまざまなストレスから解放するという重要な役割がある。トラブルの渦中にあって、混乱する依頼者に負担を手放すことを可能にすることだ。

 

 離れてみると冷静になれる。自分を取り戻すことができる。旅行もそういうプロセスか。貴重で大切なひとときであると知る。

後藤 慎吾

UPDATE
2025.10.16

その他

彼岸過ぎても

前々回のコラムで書籍の執筆の締め切りが9月末だと述べたが、10月も半ばだというのにまだ原稿を書いている。本業が忙しかったこともあり想定通りに進まず、無理を言って締め切りを11月末まで伸ばしてもらった。 

 

法律書の執筆というのは、法律、政令、省令などの法令に書いてあることを読者に分かりやすく説明すればよい。小説家のように無から有を生み出す必要がないので、私のような創造性のない人間でも著者になることができる。ただ、間違ったことは書けないので、裏をとるために様々な法律書を読み込んでいるとあっという間に1日が過ぎてしまう。48歳になったというのにいまだに勉強の日々だ。 

 

法律について1日あれこれ思いを巡らすのはしんどい作業のように思われるかもしれないが、忘れていたことを思い出し、新たな知見に触れることができるので結構楽しい。司法試験の勉強の時もそうだった。法を学ぶことが生来好きなのだと思う。 

 

このような成長の機会をいただけていることに感謝しつつ脱稿まであと1か月半駆け抜けたい。 

荒巻 慶士

UPDATE
2025.09.23

その他

原点が存在する

 年を重ねてくると、同窓会が増えてくる。

 そのように聞いていたが、実際にそのとおりになった。今夏には、高校の同期会があり、司法研修所修了20周年の記念会があった。近くは中学校の同窓会が予定されている。

 

 インターネットやSNSの広がりで、集まろうとすると、途切れていた関係も意外につながりやすいことに気づく。一緒に登校していた中学時代の友人には、この事務所のホームページで見つけてもらった。おそらく40年以上、会っていないのではないか。

 

 ひと時のことだが、耳を傾けては話し、過ぎていった時間を埋めようとする。友人たちのその後を知り、自分の来し方を振り返るわけだが、月並みになるけれど、刺激を受けたり、反省したりする。

 

 不思議に思うのは、忘れかけていた当時の空気の中にたちまち立ち返り、だれも当時の個性そのままであることがわかる。長く会わない友だちでも、話しやすい相手は話しやすいまま。

 要は、人は結局、変わらない。変わったように見えても、きっと本当はこういう人柄だったんだなと気づく。

 

 当事務所も来年3月で10周年。山あり、谷あり、立ち止まることなく進んできた。お陰様で大きな事故もなかった。新たなことを始める弾んだ気持ちが、少し遠くなっていた。節目にあたって原点を見つめよう。

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